
文月のこと
1日 12時に勝どきの駅で待ち合わせて、「トドの会」の5人でミドリさんのマンションに行く。
ずっと楽しみにしていた今日なのだ。ミドリさんは隅田川沿いの介護付き高層億ションに半年前に入居した。
杉並の家を売ってここに移られたということだけれど、その素晴らしさにみんな驚嘆した。
こんな暮らしが出来るなら、老後は安心だけれど、どう逆立ちしても、我が家では無理。
夕方まですっかり遊ばせていただいて、楽しい気分で帰りに病院に寄った。夫に億ションのパンフレットを見せる。
今日の集まりのメンバーは、33 年間も同じ“プールの水”を飲んで、今年の春に別れ別れになったグループの、久々の邂逅だった。
2日 今日は多忙な日。大掃除をしようと思いたったのだけれど、夕方までかかっても終わらない。
お風呂場の壁にカビを発見。カビキラーを振りまいておいて、その間に、銀行の入金チェック、郵便局で牛乳やさんの支払いと配当金受け取り。
夫に頼まれた耳かき、ノート、ボールペン、新しい文庫本を届けて、退屈している夫の相手をしばらくしているうち、布団を干してあるのを思い出し、韋駄天走りで家に帰る。今日は旦那はすこし微熱。
3日 まちこさんが大好物のデザートを持って訪ねてくださった。<茶々>は、甘みを抑えた上品なお茶のお菓子。
湖北の「メヌエット」の夏のヒット商品で、そのあっさりとした中に控え目で上品な味が、趣味の良い器に盛られている逸品だ。近かったら毎日でも買いに行きたい。久しぶりに夕方近くまで、二人きりのおしゃべりタイムを楽しむことが出来て嬉しかった。
彼女とは18 歳違いだけれど、私は歳の差を感じない楽しいお友達(彼女が私の歳に近いわけではない、念のため)。
夕方、昨日からおかゆが食べられるようになった夫の所に、<茶々>をひとつ持っていく。
多分、土曜日の朝の血液検査の結果が出たら、一旦退院ということになりそう。
玄関先のアガパンサスとノウゼンカズラが妍を競うように咲き乱れていて、見飽きない。
夫が買ったまま置いて行ったサルビアの葉が、レース状になったので、慌ててプランターに植えた。
夜顔を出した娘に<茶々>を御馳走する。
「わ〜〜高そう!」と言いながら、美味しそうに食べて、出て行った。
5日 昨夜は今年初の熱帯夜で、寝苦しかったこと。でもまだまだ頑張ってクーラーはつけない。
お蔭で丑三つ時にはぱっちりと目が開いてしまった。
この5日ほど4時間ぐらいしか寝てないのに、どうしたことか元気だ。早朝に起き出して、昨日の続きの掃除。
午後になって夫がとりあえずの退院をした。これから1週間、金曜日に大学病院に行くまで、何事もないことを祈る。
夫に付き合って、一日中低カロリーの食事にしているので、間もなくすっきりと細身の美女となれる筈。
今我が家にはお菓子が溢れている。誰も食べてくれないので、私はご飯を減らしてカステラ三昧の毎日なんだ。
世界的食糧危機だというのに、なんてバランスが悪いんだろう。
帰ってきた夫に新しい布団を出したら、「これって、冬のじゃないの?」という。まったくねえ。
慌ててクローゼットの棚に梯子をかけて、新しい羽根布団を探し出した。でもこれも冬用?
7日 相変わらず蒸し暑い。病院から帰ってきた夫が、年金特別便のチェックをして、間違っている、という。
疑わしい人は出頭しろ、と一方的に言われても、今の彼には、坂を下りるのも無理。
なにも今すぐにやらなくても、と言ったら、
<今はいいけれど、遺族年金になった時に減らされる恐れがある>
というのを聞いては、私も見過ごすわけにはいかない。
くたばれ社会保険庁の奴!
夕方病院に、土曜日に払い損なった入院費を持っていく。次はまた入院費のやり繰り算段をしなくては。
8日 お昼御飯の用意をして、さて、プールに出かけようと思ったとたん、ものすごい雨。
くろねこの配達の人が、全身濡れねずみで飛び込んできた。タオルを持ってくるから待ってて、と言ったけれど、
「大丈夫」、と言って走って行った。雷が鳴って、この男性的な雨は、少々早い梅雨明けを想わせる。
夫は近所の床屋に行ったが、お休みだったとこれも濡れて帰ってきたが、それだけで7度5分の熱を出した。やっぱり無理だったんだ。
この雨は、私が出掛けるのを阻止しようとしているらしいので、プールはやめにした。
9日 7月ユトリーバ例会(73回目)。
朝から欠席の電話が、続けて入り、ちょっぴりへこむ。
今日は本当だったら大学病院に行く予定があったのだけれど、夫がユトリーバを考慮してこの日はダメと、病院に言って呉れた、私にとってはありがたい日。コーラスはアルトがいないので、私が伴奏とアルトを受け持ち、目がロンパリになった。
それでも頑張って5人のコーラスで、「愛の喜び」の前半を、イタリア語で練習。
後半は例の如くおしゃべりに花が咲き、今日のテーマは延命治療と尊厳死について。
折も折とてだ。
帰りに山のようなお菓子を持って帰っていただく。
夜、夫にすこし体力をつけようと、豚の生姜焼きを作る。食欲がすこし出たみたい。
10日 プールにご無沙汰で、体がもやもやする。
夫の体調がそんなに悪くなさそうなので、急遽お昼御飯を用意して、時間ぎりぎりに家を飛び出す。
今日のアクアエクササイズはしゃっきり足腰とマッスル体操で、すこしきつかったが、さっぱりする。
コーチが私に「大丈夫?」と言ったところを見ると、きっと<ぶざま>だったのだ。
お腹がすいたので、下のスーパーで、おにぎりを1個買って、店内がいっぱいだったので、通路のベンチで食べた。今日はお仲間がいない。
ホームレスみたい、となんだかおかしい。
今日買った鯵の干物は上出来で、いつも残す旦那も少々大きいのを1枚平らげた。
11日 朝9時に家を出て大学病院に行った。2時間待ちでもうくたくた。家に帰ったら1時を回っていた。
一応入院の支度をして行ったけれど、原因がわからないのでもうしばらく、外来で検査することになった。
毎回こんなに待つのでは、私だって病気になりそう。今日は白金の都ホテルで食事会があるし、出来ればプールにもいきたかったけれど、どちらもおじゃんとなる。
当分こういう生活が続くことを覚悟しなきゃ。
12日 まちこさんが朝もいだトウモロコシと、これも採れたてのトマト、 それからおねだりした青シソをたっぷりと持ってきてくださる。
早速茹でて隣の若者たちにもお裾わけ。柔らかさといい、甘さといい極上の逸品だった。
午後から町に出て、一緒に久々の石焼ビビンバとお茶で至福の時を過ごす。ビビンバは値上げしないけれど、ザーサイと、スープが付いてこなかった。実質的な値上げ。
マチコさんは、貴重なおともだちだわぁ。
幸いなことに夫は今日発熱しなかったらしい。
13日 まったく暑いったらありゃしない。
家の中でも熱中症にかかると聞いては、クーラーを倹約する気にもならず、ガンガン冷やす。午後美容院に行って、至福の時を過ごす。
この急激な暑さで、食欲減退。昨日マチコさんに頂いた紫蘇を、教わった通りじゃこ、鰹節と混ぜてお醤油で味付け、御飯が進むこと!せっかく減った2キロを、あっという間に取り戻してしまったわ。どないしょ。
14日 熱帯夜で、3時半に目覚めてしまう。 しばらくエアコンをつけたり消したりしていたけれど、ついに起き出して下へ降り、リビングの寝椅子に転がってテレビを見ていた。
大阪の「食い倒れ太郎」と女将は瓜二つ。ゴルフの不動さんは金太郎あめに似ている、などと思っているうちに、ふたたび寝入ってしまい、目が覚めたら朝8時だった。
ぼんやりとはしておれず、あたふたと支度をして、 今日やる楽譜をそろえて、デイホームに行く途中で眼鏡を忘れてきたことに気づき、またUターン。
汗びっしょりになってやっとたどり着いたら、様子が違う。
スタッフのとらちゃんを捕まえて聞いたら、今日は七夕のお祭りで、コーラスはないという。もうがっくり。
よかったら手伝っていけば?というのを、振り切って帰った。これってなんなの?先週誰も教えてくれなかった。
人の労力はタダだと思ってる証拠。決めたことを守るのを信条にしてる私はバカ?
今日はお人形作りの日。帰ってすぐにキミコさんとミワコさんがご到来。今日は息子の家を借りて、一味違うミーティングで、朝の腹立たしさは、楽しさにすぐ消えてしまった。
吊るし雛の種類が増えた。今日は絹で桃を作ったけれど、どうみても柿。
頂いた、魚久の粕漬けと佃煮で、お使いに出ずに美味しい夜ごはん。
今日は夫が食欲がある。でも、相変わらず6度9分の微熱。平熱が上がったのかな?そういうことにしとこう。
16日 ゆうべは熱帯夜ではなかった、とテレビのニュースが言ってるけど、相変わらずの寝苦しい夜だった。
4時に起きて植木の水やり。頼んでいたものが続けて配達されたので、郵便局へ振り込みに行く。
帰ってから5000円足りないことに気づいた。あ、あの時落としたんだ、 と気がついたけれど、お札に名前書いてなかったしなあ、とがっくり。
午後になって、出し忘れていた3件のお中元を 暑中見舞いとして贈るために、 澁谷のデパートへ行く。
お菓子屋さんで10000円以上買った方に、と和菓子の5個入りをくれた。電車が出るまで、時間があったので、退屈しのぎにレシートを見たら、今日のポイント7点と書いてある。7点って7円のこと?これってゼロが一つ足りないじゃん。…と、こういう時は思わずヨコハマ弁になる。気持的に差し引きゼロ?いえいえ、マイナスだ。
今日はお金についてない日だったなあ。とおまけの5個のお菓子のことは、すっかり忘れている。
昨日の大風で散らばったノウゼンカズラを、門前に掃き寄せたままにしておいたが、帰ったら掃除がしてあった。
旦那が見かねて片づけたらしい。あなた、ほんとに病気なの?
20日 土用らしくむんむんと凌ぎにくい日曜の朝。
もう開きなおって、どうともなれ、という気持ち。
こんなとき思い浮かぶのが、高校時代に、担任の先生が冗談で教えた不思議な英語。
You might oh more head today's at fish!
これを日本語でいうと、「言うまいと 思えど今日の 暑さかな」
まったくねえ。昔の先生はユーモアがあったわ。この先生の授業で最初に教わったのが、ドイツ語のローレライだった。ちなみにこの先生は、東大の社会学科御卒業だ。
ずっとあとになって、クラス会で先生にその話をしたら、
「いやあ、おはずかしい、青かったなあ」といわれた。
今日はマグロを買ってきて、さっぱりと鉄火丼を食べることにする。夫だけ本マグロの高い奴。私は養殖にする。
土用の丑の日でも、今年はうなぎは食べないだろうな。
だって、スーパーのウナギは美味しくないんだもん。
21日 今日は海の日で休日だけれど、去年の秋からデイホームは、やっているので、馬鹿がつく正直者はコーラスをやりに行く。先週空振りだったので、もし今日もなかったら、と思うと、足が重かったけれど、今日は休日にもかかわらず、ほとんどの人が来ていた。 海の日なので片端から海の歌を歌う。
それにしても今日の眠いこと!
♪〜食っちゃ寝、食っちゃ寝で日が暮れた…(これは夕焼けこやけのメロディでうたう)
22日 夫について大学病院に行く。
とても清潔感あふれる立派な病院だけれど、ここはどうしてこんなにくたびれるんだろう。お昼で会社から休みをとって、車で運んでくれた息子も、待っている間に、があがあ寝ている。
今日はエコーとCT検査で、2時間かかった。ああ、私も病気になりそう!
夜はお蕎麦とおにぎりで簡単このうえない食事。プールを休んだので、体がおもたい。
23日 今週は病院週間。
夫が何か月も前から予約を入れてあった、厚生年金病院の眼科について行く。
朝は息子の車で送ってもらう。運転を辞めてから半年で、都心を走るのは久しぶりだった。こんなことになるなら免許の更新をするんだったなあ。
大きい病院は混んでいるので、一日仕事だ。
待っている間に持って行った文庫本を200ページ読んでしまった。
10時から1時半までかかって、やっと解放される。
炎天下を飯田橋駅まで歩いて、お寿司やさんで一息入れて地下鉄に乗って3時に帰宅。
私は一休みしてから、銀行でお金をおろして、九品仏のお寺まで地代を納めに行く。
さすがに往復ともひと駅電車に乗ってしまった。時間的には歩いても同じだけれど、今日のアスファルトの照り返しは、灼熱地獄で歩く気になれない。
この暑さの中、お寺には後期高齢者の団体が、リュックを背負って歩きに来ていた。
旦那のついこの間までの姿だ。大丈夫かいな?
夜はサンドイッチと冷蔵庫の野菜をかき集めたスープ。
水を飲みすぎて、胃の調子がおかしい。
24日 朝方の東北の地震を、二人とも気がつかなかった。
流石に暑さ疲れで睡眠のサイクルが狂っている。
今週は今日だけしかチャンスがないので、プールに行く。いつもより早く9時半に出たら、電車が満員だった。
優先席は若者で満杯。みんな携帯に夢中だ。でも私はもし空いていても座らない。だって体育の日だものね。可愛くない年寄りだ、と我ながら!
今日は2回分と思って、みっちりアクア45分、しゃっきり足腰30分、 そして極めつけはマッスル体操だ。
おしるしにノンストップで300メートル泳ぐ。
う〜くたびれた。でも気分爽快。
行き会ったお友達2人とお昼を食べる。今日は土用の丑の日だから、と誘いに乗ってスーパーのイートインで750円のうな丼。
まずい、500円の天丼にすりゃよかったなあ。
25日 夫の検査の結果を聞きに大学病院にいく。
予約なのだけれど1時間半待ち。
来月の4日に検査入院ときまる。今回は2週間の予定だけれど、方向性が見えてきて、なんだかほっとした。
でもまた生活のサイクルが変わるなあ。4人部屋の差額ベッド代一日7800円也。こうなるとやりくり生活に気合いがはいるわぁ。
夕飯の支度をする気になれず、イクラとシャケを買ってきて、丼にし、あとはお味噌汁と漬物だけ。生うににちょっと目がいったけれど、今日はイクラとシャケで親子水入らずにしてあげる。
27日 食材がマンネリになってきたので、猛暑の中、思い切って渋谷まで買い出しに行った。
バスを降りたらポチポチと雨が降って来たので、そのまま東急プラザの紀伊国屋に走り込んだ。
来年の大河ドラマの主人公「直江兼続」の本があったので、上下2冊の文庫本を買ったら、重たいこと。
旦那は病気になって、本の好みが変わったようだ。固い本よりも世話物を好んで、最近は私の本棚から、せっせと「山本一力」の著書を引っ張り出していく。いい傾向だ。
東急のデパチカはたくさんの人でごった返していた。牛肉売り場は夏バテ防止のためか、たくさんの人。
そこを素通りして、鯛、たらこ、イワシ、鯵の干物をしこたま買ってきた。これで4,5日分のお魚はOKだ。
鯛はお刺身用と書いてあったけれど、ムニエルに、イワシは明日梅干し、こぶと煮るつもり。
旦那に付き合って、最近食生活が変わってしまった。そういう歳になったということかな?
28日 毎日のように殺人事件が起こっている。
この国はどこで道を踏み外してしまったのだろうかと、暗澹とする。
デイホームの帰りに、小学校の前の踏切で、遮断機が上がるのを待っていた時、プール帰りの子供たちの中の一人が、あ、バッタだ、と言ったかと思ったら、思い切り踏みつぶすのを見てしまった。
踏切待ちをしていた車の人が、 悲鳴をあげたので私も気がついたのだけれど、こういうときどうしたらいいのか考えてるうちに、遮断機が上がって、子どもたちは走って行ってしまった。嫌なものを見てしまったと、ずっと憂鬱な気分の午後を過ごした。
相変わらずの酷暑だ。
29日 このところ3時に眼が覚める癖がついてしまった。
どうにも寝付かれずに、本を読む。
おかげで朝の眠いこと。プールに行っても眠い。スーパーのイートインでエイコさんがお弁当を買って食べているのに出会う。彼女は、つい先週ここのお弁当で食中毒を起こしたと聞いたばかりなのに、タフな人だこと。
このスーパーのトコロテンが美味しいのを発見して、行くたびに買ってくるので、大荷物になる。
炎天下を犬みたいにはあはあ云いながらやっと帰った。
夜になって、久しぶりの大雨となる。蚊に刺されながら水やりをしたのは無駄な労力だったなぁ。
30日 お寺の住職さんが亡くなられて、 記念碑を建てるので、と寄付集めがきた。この場合寄付といわずに、支納金という。便利な言葉。但し書きに「すこしでもたくさん」と書いてある。考えて身分相応の10口にした。
銀行に振り込みに行ったら、システムが変わっていて、まごついた。
銀行の案内係のおじさんの態度がでかい。<こんなこともわからないの?>といった態度で、ナマイキ。
なんたって、自分のお金を動かすのに、手数料取るんだもんなあ。あなたの仕事の意味考えて、もう少し低姿勢で接してよ。
31日 あらあら、気がついたら7月が終わってる。
ただただ暑さに対処していた1か月。
明日は出かけられそうもないので、プールに行って2時間アクアエアロに励んできた。
帰ったら旦那が庭掃除をしていた。
元気になったのかなあ、それとも思考力が減退したのかしら?
来月は病院とのますます親密なお付き合いになるんだわ。











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